CIVL(DHV)のレポートより

リジットハングのスピン防止

過去のリジットハングのスピンの事例より考察する。

スピンは初心者のトラブルということではない。単に経験不足から来るものではない。

ベテランパイロットがノーマルな飛行で突然にスピンに入ったという報告が出されている。

その原因は、通常パイロットが翼における空気の流れが部分的に剥離することに気がつくのが遅すぎて、失速に入ったと考えがちである。そのようであっても、危険なスピンに入ることを防止するいくつかの段階がある。

結論

スピンの効果的な防止策には、まずスピンが何時、どのようにして、何故起きるかを知ることである。

次に、リジットハングパイロットは意識を鋭敏にすることである。

@     フレキシブルから学んだ直感的な反射動作の分析

A     反応の仕方を最適な応答操作に変えること。加えてその詳細を明らかにすることがリジットハングがスピンに入りにくくすることになる。

注意

リジットハングのスピンに入る恐れを強調するものでもなく、問題存在を無視するものでもない。

 

HGのスピンには3つのパートがある。

@     入口

A     スピン

B     リカバリー

 

1.スピンの入口

リジットハングのスピンは、コントロールバーを押し出し過ぎて、翼端の気流が剥離を起し、失速に入ることにより引き起こされる。

流体力学的には、スピンに入るのはエアースピードではなく、翼の迎角にのみ拠っている

対気速の減少はググライダーの迎角を変え、その結果ストールし、スピンに入ると言う事である。実際には遅く飛ぶことによってリジットハングのスピンが起きる。

 

2.スピン中

スピン中はグライダーの回転速度、滑空角、バンク角は通常の操作ではコントロールできない。翼は大きな力の中に取り込まれている。

スピン中は回転力(ジャイロ力)が支配的で、その結果ノーコンとなる

これがリジットハングのスピンを特に危険としているところである。

 

大きいサイズのリジットハングはスピンに入りにくい。しかし、スピンに入ると極端に複雑な動きに陥り、その結果コントロールが非常に難しい。

小さいサイズは一般的にスピンに入りやすいが、その動きは予想できる単純は動きとなる。

 

3.リカバリー

充分に高度があれば殆どのケースでリカバリーが可能である。

スピンからのリカバリーは、バーを引いてスピードを増し、回転方向と逆に体重を移動させることである。リジットハングを必要なだけ引き込むには、フレキシブルハングに比較して非常に大きな力が必要である。ともかくめいいっぱい引き込まなければならない。

 

スピンよりの回復には、一般的に50〜80mの高度ロスがある。もしもスピンに入れば地面は直ちに近づく。

 

スピンに関係する要素

リジットハングがスピンに入ることに関連する3つの主な要因

@     翼の捩り下げ

A     コントロールバーの位置

B     重心の位置(ハングポイントの調整)

他の要因(翼の揚力分布、翼形状、捩り分布、翼のテーパ等)はここでは考慮しない。しかし、非常に複雑な動きのなかにあるリジットハングのスピン特性には確実に影響を及ぼしている。

1.捩り下げ

旋回中は、グライダーを操縦するのに、後退角のあるリジットハングのデザインに翼の捩り下げは必要である。

           翼端は一般的に5〜7°捩り下げられている。もしも旋回中に迎角が失速角を越えたとき、翼端が早めに失速してスピンを誘発するのをするのを防ぐ。

翼の捩り下げはチップストールを防止する。そしてリジットハングのスピンへの危険を防止する。

翼端の捩り下げは逆の影響を与える。特にファイナルグライドにおける高速飛行時には。

コンペパイロットが積極的に捩り下げを減らすようにする。しかし、行きすぎはグライダーの特性に危険な影響を及ぼす。

安全上の理由で、グライダーの捩り下げは限界以下に決してしないことであり、それが安全を確保する。

2.コントロールバーの位置

予想していないときの乱流に驚いた時、パイロットは一般的に人間工学的に機敏に反応できる体制に自動的になる。直ちに反応して、バーを引いたり押したりできる位置にする。

前方へマウントされているコントロールバーは後方への操作については余裕が大きい。

パイロットが緊急ポジションに入れば、乱流の中で翼端がストールしてスピンに入る危険性が防止される。

もしもグライダーの設計者がベースバーを充分に前方に取り付けていれば、パイロットの腕の長さの限界によってもたらされる望まないストールとスピンは殆ど発生しない。

 

3.重心の位置による効果

フレキシブルウイングは、サーマリング中のハンドリングの快適さを高める為に、普通はよりゆっくり飛ぶように調整されている。

これがフレキシブルウイングにとってはそれ程限界ではなくても、リジットハングにはそのようではない。習慣的な調整は受け継がれるべきではない。

重心を大きく後ろの方にしたリジットハングはサーマルに入る時とターンに入る時はコントロールに遅れが出る。そして、突然に翼の一方がストールしてその結果スピンに入る。

リジットハングの遅めのトリム調整はストールするのに早いトリムより少ないプレッシャーとなってしまう。そして突然の失速とスピンに入るリスクを大きくさせる。

適正に前の方に重心を調整したリジットハングはスピンのリスクを予防する。スローフライトの為の調整であってもスピンにリスクは増大する。

 

体重の軽いパイロットが、体重の重い人のグライダーを借りる時は、ハングループを前方に調整することが重要である。グライダーマニアルのガイドラインを読むべきである。

 

スポイラーとその効果

スポイラーが作動する時は、コントロールとヨーの力を出すためにのみ働いてほしい。しかし、望まないノーズアップのピッチモーメントも増大する。

ターンが始まった時、スポイラーによるピッチアップを補正する為、コントロールバーを引いてスピードを維持することが重要である。(ターン中とターンの直前)

 

スポイラーによるピッチアップが増加する主な危険は、翼の失速ポイント近くでゆっくりサーマリングする時、そして、スポイラーをアクティブに動かしてよりよいサーマルのコアにトライする時、内側の翼の突然のストールによりスピンに入る。

フラップ

フラップを引くと一定速度でも翼のリフトが増す。その結果速度と翼の最低速度は減少する。この効果は全ての一般的なリジットハングで見られる。計測可能で大事なことである。

リジットハングでフラップを引くことは、そのモデル特有のピッチアップもしくはピッチダウンが有る。

ピッチダウン(ベースバーが後へ動く)がみられるものは、E7、アトス、アトスS、スターで、エクスタシー、ゴウストバスターはフラップを引くことによってピッチアップモーメント(ベースバーが前方に動く)が発生する。

ピッチアップモーメントを誘導するフラップは、バーが後方へ動くことによりパイロットはトリムポジションから前方にプッシュするのにたいへん大きなレンジを得ることになる。

このことは翼がストールに入りやすく、そしてターン中に予期しないスピンに入る危険性が増大する。

サーマリング中、フラップを15°以上にセットすべきではない。

ピッチアップを伴うフラップはパイロットがタービュランスの中、緊急ポジションに入った時、バーを出しすぎてストールするという危険性が確実に増すものとなる。

 

動くAフレーム

リジットハングの動くAフレームはスポイラーケーブルをコントロールするために使われ、フレキシブルハングのようにテンションはかかっていない。

スピン中のパイロットとAフレームは回転力により翼の外側に投げ出される。もしもパイロットがバーを持ち続けるならば、回転の内側翼のスポイラーが上がってしまう状態になる。これによって内側の翼のエアーフローを改善してスピンから抜け出すことが困難になる。

バーを最大限に引き込むことがスピンからの回復を助ける。

 

CIVL(DHV)のレポートより

リジットハングのスピン防止

 

動くAフレーム

リジットハングの動くAフレームはスポイラーケーブルをコントロールするために使われ、フレキシブルハングのようにテンションはかかっていない。

スピン中のパイロットとAフレームは回転力により翼の外側に投げ出される。もしもパイロットがバーを持ち続けるならば、回転の内側翼のスポイラーが上がってしまう状態になる。これによって内側の翼のエアーフローを改善してスピンから抜け出すことが困難になる。

バーを最大限に引き込むことがスピンからの回復を助ける。

リジットHGはスピン中に断片的で複雑な動きにより、特にリカバリーをしている時は大きな遠心力が結果的にかかる。これらの力は、予期しないスパイラルに入ってしまった時にしばしば引き起こされて、強度限界を超えた応力を加えることになる。そして、時にはグライダーの破壊に至ることがある。

 

フレキシブルウイングHGとリジットHGのスピンへの入りやすさの比較

 

一般的経験の結果、私自身がテストパイロットとして異なるメーカーのリジットHGを経験したところから導き出されたのが次の結論である。

 

保証されたリジットHGで、しっかりと捩り下げをつけているものは、フレキシブルHG比較して予期せぬスピンに入りやすいという傾向は無い。

保証された状態でのみリジットHGの飛行をすべきである。

 

一般的にリジットHGがフレキシブルHGよりスピンに入りやすいということはない。つまり、より危険であるということではない。ただ、スピン中の動きは大きく異なる。

吊り下がったAフレームによって引き起こされる複雑な動きがある。これはフレキシブルHGより問題である。

リジットHGでスピンの実験は絶対に避けるべきである。

 

改善方法

あなた自身の反射動作を意識することと、それを意識的に変えるようにすることである。フレキシブルHGで飛行することにより反射(反応)はまちがいなく学習される。それは本能的なリアクションからくるものである。そのような状態での反応は確信を持ってコントロールされるべきである。リジットHGの消極的な飛行イメージから脱出する為には、危機的な状況の中で、もっと一般的にみられる無意識のリアクションをリジットHGに適用させるとすれば、次のことがある。

 

1.遅いターンからのランディング時

2.遅すぎる飛行とランディングアプローチで障害物に近くなりすぎた時

3.サーマリング中、ストールポイント付近で急に機体を振る操作によってコアーに機体を押し込もうとする時

リジットHGを安全に飛ばす為に、常に翼面のエアーフローに意識を向けておくことが重要である。

 

ストールポイントのシグナル

リジットHGがストールする前に、翼は確実に「警告シグナル」を送る。それをパイロットが受止めれば大きな手助けになる。

1.バープレッシャーが増加する

2.沈下率が増加する

3.方向安定性が減少する(一方へ曲がろうとする)

4.コントロールが悪くなる(遅いスピードでスポイラーは効果的に効かない)

この「警告サイン」を素直に認めることが重要である。初心者にとってはしばしば分らないこともある。

 

ストールポイントでのサーマリングと、そしてフレキシブルHGのようにコアの中に押し込もうとさせる時はスピンにつながる。リジットHGに乗る時には翼面の気流を意識するということを忘れてはならない。

 

最後に

ここ2〜3年のセールプレーンの向上はたくさんの興味深い発展を見せている。私の見解ではリジットHGのデザインは適切であると思う。単に滑空比を上げるより、同一パフォーマンスでもメンテナンスがより易しい特徴を持たせることを重視しようとしている。このような指針でこれからも進めば、HGの発達は、流通方式の改革も、翼端の捩り下げを増加させてコントロールバーの位置を充分に前にすることも含めて、変わっていくであろう。