今晩は、四戸さん。お久しぶりです。
宮城の相沢です。
とりあえず、生きてます。
で、今回の事故について、四戸さんに所見を聞きたくてメール書きました。
忙しい所申し訳ありませんm(_,_)m
 
今回の事故は、テイクオフした後一時間ほどフライト後、室根山の山頂上空150mでセンタリング中に起きた事故で最初は30度程度のバンク角で旋回中でした。
大気速度は50km程度、その時点ではバフェット等の失速などの兆候は感じられず。
サーマルのコアを感じてさらにセンタリングの中心を移動しようと、押し出し(ピッチアップ)た途端にぐるんと横転。
丁度スプリットSをする感じで、ハーフクイックロールして背面になった後ダイブって感じです。
其処から、スパイラルダイブ。
最初は60度ぐらいの降下角で、ニュートラルのまま回復を待っていたんですが、次第に降下角が深くなり一秒ぐらいでこれは回復しないと判断。
レスキューを投げた瞬間に、降下角が90度を超えたようでその瞬間にばたんとひっくり返って、背面フラットスピンになりました。
運悪く、レスキューパラがひっくり返った瞬間に投げてしまう羽目になり、おかげで開かずにコンテナが翼の上に乗ってしまい、もう一度手繰り寄せる暇も無く、間に合いませんでした。
 
基本的には状況からして、フラットスピンではなく翼端失速では無いかと思いますが、どう思われますか?
ただ、それまでまったくそんな事は無かったので、大変ショックを受けてます。
それにそれ程変わった操縦をした訳ではないし、パラグライダーもソアリングしていた穏やかな条件の天候だったのも、うーむと思っています。
 
原因として考えられるのは、翼端失速では無いかと僕は考えているのですが、今まで同じような条件で同じような事を何度もしたのに今回に限って起きたので、多分追試しようとしても難しいのではと思っています。
その為対処療法的ですが、境界層フェンスを取り付けようと考えています。
翼端失速にはこれが一番効果的と確かラジコンの本にありましたので。
ただ、取り付け場所としてはスポイラーがあるので、スポイラーの外側一番外側のリブの上を考えています。
スポイラーの内側では、其処まで失速しているエリアが広がっていては横転は避けられず意味が無いと思いまして。
 
それで境界層フェンスを取り付けて、効果があるでしょうか?
また取り付け場所は此処で良いでしょうか?
 
それとフェンスの高さは翼弦のどの程度必要なのでしょうか?

相沢 様

大丈夫だったんですか?
接地までの様子が書かれていなかったため、最後どのように降りたのかわかりません
が・・・生きてはいらっしゃるようで、本当に良かったです。

解析はさて置き、ご無事だったのかが気になっていました。
私の感想は、また週末にでも書きますが、簡潔に言って、相沢さんのおっしゃる通り、95%以上の確立で、翼端失速によるスピンだと思います。

境界層フェンス、(この場合、ボルテックスジェネレータと呼ぶのが適切と思いますが、)は、効くだろうと思いますが、効きと滑空性能が引き換えになる為、悩むと思います。

普段の生活を圧迫してまで、高額の保険掛け金を払い続けるか、という感じでしょう。

ところで、フラットスピンに関してです。
フラットスピンは、最終的にフラットにスピンする運動ですが、最初は一方の翼の翼端失速によるスピンから始まる点で、いわゆるスピンの一形態です。

スピン中、機首を下げていくか、上げていく(フラットスピン)かは、また別の話題で、”スピンに入る”理由に変わりはありません。


今日は、四戸さん。
ご心配かけました。

> 大丈夫だったんですか?

いや、大丈夫でも無いんですが、とりあえず骨折も無く入院も一日で済み今は実家から通ってます。
そうそう、昨日から職場に復帰してます。
ただ、全身打撲でしばらくは不自由な日々が続きます。

> 接地までの様子が書かれていなかったため、最後どのように降りたのかわかりませんが・・・生きてはいらっしゃるようで、本当に良かったです。

はい、結局レスキューパラが運悪くひっくり返った翼の上に乗ってしまい、地面までフラットスピンのまま山頂付近に墜落しました。
因みに現場周辺は非常に高い樹が多いのですがこれまた運悪く、とても枝が少なくて、余り衝撃を吸収してくれなかったみたいですが、最終的にひっくり返ったまま斜めに傾いて地面に当たった為また自分が仰向けに落ちた為、機体とハーネスが衝撃を吸収してくれました。
また、斜めに斜面なりに落ちた為にスキージャンプの様に衝撃が少なかったらしいです。

> 解析はさて置き、ご無事だったのかが気になっていました。
> 私の感想は、また週末にでも書きますが、簡潔に言って、相沢さんのおっしゃる通り、95%以上の確立で、翼端失速によるスピンだと思います。
>
> 境界層フェンス、(この場合、ボルテックスジェネレータと呼ぶのが適切と思いますが、)は、効くだろうと思いますが、効きと滑空性能が引き換えになる為、悩むと思 います。

>普段の生活を圧迫してまで、高額の保険掛け金を払い続けるか、という感じでしょう。

一応原因はそうじゃないかと睨んでいたんですが、やはりそうですか。
ただ、他には僕のATOS−Cは初めてV尾翼が標準装備となった為に、性能向上の為に今までよりねじり下げを減らしてあるらしいです。
でねじりさげを増やすよりは、適正に作ったフェンスの方が抵抗が少なそうだし、効果もはっきりしてそうに思うのですが?
それに直進性向上にも効果が有りそうですし。


> ところで、フラットスピンに関してです。
> フラットスピンは、最終的にフラットにスピンする運動ですが、最初は一方の翼の翼端失速によるスピンから始まる点で、いわゆるスピンの一形態です。

>スピン中、機首を下げていくか、上げていく(フラットスピン)かは、また別の話題で、”スピンに入る”理由に変わりはありません。
>
> では、また改めます。

ありがとうございます。
無学なもので、フラットスピンのメカニズムについてもよく分からないので、よろしくお願いします。


今晩は、四戸さん。
相沢です。
JHFの会長の朝日さんに個人的にレポートをお願いされました。
朝日さんも、グッケンモスのESC乗ってるので、人事じゃないみたいです。
よく一緒に秋田でフライトする仲でもあるので、気になってるみたいで。

もっとも、それだけじゃなくてHPを開いている以上、きちんとしたレポートを発表する責任があるっては思っております。
が、実際に起きた事をこれこれの事がこう言う原因で起きた。
って言うレポートなら書けるのですが、それはレポートではあるけど問題点の指摘だけではって思うんです。

それで、正直余り翼端失速についてとフラットスピンそれに引き続いて起きるスパイラルダイブについてきちんとした理解がなくては、意味のあるレポートが書けないと思うんです。

そこで、質問なんですが、翼端失速は翼端の方が翼根部分より失速し易い形状の翼の場合(テーパー翼・後退翼)低速での飛行や、小さい半径での旋回等の時に、翼端の部分で翼上面の気流が剥離して、その渦が翼端から翼の根元に向かって急速に広がり、片方の翼の揚力が失われて、機体が横転、其処からスパイラルダイブに移行するって、概ね理解しているんですが、間違いはないでしょうか?

僕が曲がりなりにも理解していると思っているのはこの点だけです。
で、もう一つのフラットスピンが起きるメカニズムについては何とも正確な理解をしているとは思えないのでこちらについて教えて頂ければ、レポートを書く上で大変助かるのですがm(_,_)m

あと、もう一つ普通にストールしてからのダイブ等と比べてどうしてスピンや翼端失速などからのスパイラルダイブは回復に手こずるのでしょうか?
またスパイラルダイブに入った場合、翼は完全に失速しているのでしょうか?またどの辺から失速から回復するのでしょうか?

勝手なお願いですが、よろしくお願いします。ペコリm(_,_)m


相沢 様

お返事が遅れていて申し訳有りません。
どうにも、最近忙しく、お約束が守れませんでした。

ところで、その後、お加減はいかがですか?
打撲も範囲が広いと辛いですよね。
バイクで車と当たった時は、2日後くらいが痛みのピークだったような記憶が有ります。

> そこで、質問なんですが、翼端失速は翼端の方が翼根部分より失速し易い形状の翼の 場合(テーパー翼・後退翼)低速での飛行や、小さい半径での旋回等の時に、翼端の部分で翼上面の気流が剥離して、その渦が翼端から翼の根元に向かって急速に広がり、片方の翼の揚力が失われて、機体が横転、其処からスパイラルダイブに移行するって、概ね理解しているんですが、間違いはないでしょうか?

概ね、おっしゃる通りです。
ただ、大前提として、スピンは失速による現象、スパイラルは、失速が関与しない現象です。

まず、2つの理由で、翼が完全に左右対称に失速を起こす事は稀です。
まず、左右翼の製作誤差、使用中の変形などで、多かれ少なかれ、失速が早い側が存在します。

しかし、あまりに差が大きいと、普通に引き起こした時にも、はっきりと一方に転がる傾向がでるため、大概「機体がおかしい!」と気付きます。

もうひとつは、左右翼の環境の差です。速度が速い時は、多少の外乱では左右の翼の環境(仰角)に大差はありません。

外乱の速度成分に対して、飛行速度が十分大きいと、その合成角度(外乱速度/飛行速度)は無視できる程度ですが、速度が遅くなるに連れ、ほんの少しの外乱でも、大きな仰角変化が起きてしまいます。

しかも、その変化は、左右翼で差が有るのが普通です。

普通、サーマルにエントリーしようとすると、はじかれますが、これは、旋回内側の翼が、常に先に強い上昇風域に入るからです。

吹上げられるから当たり前と言えばそれまでですが、もう少し理屈を考えると、飛行速度と上昇風速度との合成速度が作る仰角が、常に内側翼で大きくなるから、外へ外へとバンクを戻されるため、「サーマルにはじかれる」とじるのです。

仰角が大きいと、当然、揚力係数は大きくなりますから、旋回内側の翼は、外側より先に失速に近づいてしまいます。

サーマルのエッジがハッキリしている場合には、この傾向は強くなります。

翼の平面形による失速傾向の違いは、確かに大きいものです。

が、テーパー比が0.4程度でも、あるいは、後退角が20度程度あっても、(捻り下げが無い場合ですら)静かに対称に引き起こすなら、翼面上の気流が剥離を始めるのは、翼端と翼根の中間、つまり片スパンの中央付近です。

従って、極端にスパンが短い機体でない限り、当てが迅速なら、そうそう急にひっくり返ったりはしません。

ところが、失速付近の低速で吊っている時、エッジの鋭いサーマルに片翼が入った場合、前述の理屈で、エントリー内側の翼は一気に仰角が増して失速を開始します。

すぐに反対側へバンクすれば逃げられそうですが、一瞬の事で、そうはいきません。

プロセスはこうです。最初は、ハジカれそうだったのが、内側翼の失速開始で、今度は旋回内側にバンクが深まります。

バンク角速度が生じると、進行速度との合成で更に更に、内側翼は仰角が増して、深い失速に入っていきます。

バンクが深まるだけでなく、旋回内側翼が大仰角で失速するすることにより、抵抗も激増します。

一方、外側翼は、逆に跳ね上がるため、バンク角速度との合成で仰角は減少し、失速からは遠ざかります。

揚力係数が低下するため、形状抵抗、誘導抵抗共に減少します。

一見、揚力も減ってしまいそうですが、失速した内側翼で抵抗増大、外側翼で抵抗減少するのですから、機体は激しく旋回内側へヨーイングします。

まるで空中でグランドループしたようなものですから、外側翼の速度は急激に増して、より大きな揚力が発生し、更にバンクを深める事になります。

以上のことが、瞬時に起きますから、「スプリットSに入るような、」という表現は、かなり適切だと思います。

スピンが、対称な失速と大きく違うのは、まさに回転(スピン)していることです。
最初、回転の外側翼は生きていて、内側翼が深く失速しているのですから、揚力係数を増してバンクを制御するエルロンが有ったとしても、まったく効きません。

スポイレロンなら、まだ可能性はありますが、ともかく回転を止めねば、どんどんバンクは深まり、その内、ひっくり返ってしまいます。

スピンを抜けるには、十分強力な垂直安定板が必要ですが、一般に無尾翼機は、後退角の方向安定に任せて、垂直尾翼が不足していますから、いざスピンに入ると、抜け出せないのが欠点です。

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> で、もう一つのフラットスピンが起きるメカニズムについては何とも正確な理解をしているとは思えないのでこちらについて教えて頂ければ、レポートを書く上で大変助かるのですがm(_,_)m

フラットスピンは、文字通り、水平にスピンする現象です。

ただ、いきなり水平にスピンを開始することはありません。

最初は、機首は下を向き、内側にバンクしたまま、空間上の一転を中心にした旋転です。

一見普通の旋回と似ていますが、翼全体が非対称に失速していることが絶対的に違う点です。

どういう条件で、スピンが水平になるかといえば、機体の質量が大きい時です。

特に前後が重い機体がフラットスピンに入る機体です。zz軸(鉛直軸)周りの慣性モーメントIzzが大きい機体といえば、より正確です。

スパンの長いグライダーもIzzが大きいのですが、その主翼自体が空気抵抗で回転を止める性質もあるため、単にIzzの大きさだけでは、何とも言えません。

両端に重りのついたバトンを想像してください。

最初はスピンの軸周りに傾いた姿勢で回転させます。

スピン速度が大きくなると、遠心力で重りは互いに中心から離れようとします。

これによって、バトンは、ついに水平に回ります。これが、スピンがフラットになる理由です。

また、なぜスピンが減衰せずに継続するのか?という疑問が生じます。

これは、ヘリコプターやジャイロのオートローテーションと同じ原理です。

落下速度と回転速度の合成で、翼に回転を持続させる向きの揚力が生じます。これで、落ちている限りは回転が続き、回転翼としての揚力が生じ、意外に小さい降下速度で重量と釣合ってしまいます。

とはいえ、一度フラットスピンに入れば、パイロットには何もやりようがありません。

ただし、基本的に、グライダー、HGは、翼面荷重が小さく、フラットスピンには入りにくいと考えています。

しかし、確かに背面では、フラットスピンに入りやすい印象が有ります。

背面の特殊性は、また考えてみます。

***********************************************
> あと、もう一つ普通にストールしてからのダイブ等と比べてどうしてスピンや翼端失速などからのスパイラルダイブは回復に手こずるのでしょうか?

上で説明した通り、まずは回転を止めてからでないと、頭を落とせないのが理由です。

体重移動式操縦では、ダイブが深くなると縦の操縦が難しくなりますし。

> またスパイラルダイブに入った場合、翼は完全に失速しているのでしょうか?またどの辺から失速から回復するのでしょうか?

文字通りスパイラルなら、失速はしていませんが、スピンならほぼ全体に失速しています。

旋回内側は、ずっと完全失速です。
スピンを止めないと、まず回復しません。

こんなところでしょうか。


おはようございます。
相沢です。

> どうにも、最近忙しく、お約束が守れませんでした。

催促してしまい、申し訳ありません。
おかげで、翼端失速とフラットスピンについてのメカニズムなどの点が、ようやく合
点が行きました。

> ところで、その後、お加減はいかがですか?
> 打撲も範囲が広いと辛いですよね。
> バイクで車と当たった時は、2日後くらいが痛みのピークだったような記憶が有り
ます。

はい、中々痛いです。
まだまだ、治るにはかかりそうです。
でも、日常生活に支障がないぐらいには、回復しました。


> 翼の平面形による失速傾向の違いは、確かに大きいものです。

が、テーパー比が0.4程度でも、あるいは、後退角が20度程度あっても、(捻り下げが無い場合ですら)静かに対称に引き起こすなら、翼面上の気流が剥離を始めるのは、翼端と翼根の中間、つまり片スパンの中央付近です。

従って、極端にスパンが短い機体でない限り、当てが迅速なら、そうそう急にひっくり返ったりはしません。

と、するとボルテックスジェネレーターを取り付けるとしたら、翼端に取り付けても意味が無いって事になるんでしょうか?
言われて見れば、実機においてそれを取り付けている殆ど機体は、翼の翼端よりに付いている機体は無くて、翼の中ほどに取り付けてある機体が殆どの様ですね。
あれの目的は、失速のエリアが広がるのを出来るだけ遅らせて、急激な翼端失速の現象を抑える為、ですよね。


> 文字通りスパイラルなら、失速はしていませんが、スピンならほぼ全体に失速しています。旋回内側は、ずっと完全失速です。
> スピンを止めないと、まず回復しません。

そうすると、フラットスピンや翼端失速からのダイブがしている間は、基本的にスピン状態が継続しているって理解していて良いでしょうか?
概ね、今までの経験からスパイラルダイブの旋回が止まってからバープレッシャーが回復して普通のダイブに移行して、其処から回復しているので、バープレッシャーが回復する段階まではスピン状態なのでしょうか?

質問続きで申し訳ありません。
それから、メールで教えて頂いた、スピンや翼端失速についての事を、アクシデントリポートに引用してよろしいでしょうか?
とりあえず、書きあがったらチェックお願いして良いですか?
では、色々ありがとうございます。


相沢 様

しのへです。また、遅くなってしまいました。

> と、するとボルテックスジェネレーターを取り付けるとしたら、翼端に取り付けても意味が無いって事になるんでしょうか?
> 言われて見れば、実機においてそれを取り付けている殆ど機体は、翼の翼端よりに付いている機体は無くて、翼の中ほどに取り付けてある機体が殆どの様ですね。
> あれの目的は、失速のエリアが広がるのを出来るだけ遅らせて、急激な翼端失速の現 象を抑える為、ですよね。

ハングやグライダーが他の用途の機体と大きく違うのは、着陸時以外にも、頻繁に大きな揚力係数を使うことです。

実機は、用も無く失速近辺の低速で飛行したり、外乱が失速を引起すようなヤバイ所に好んで近づいたり、はしませんから、基本的に失速対策は、着陸時に対して行っています。(高速機では、衝撃波対策もありますが、我々には無縁ですね。)

フェンスというと、まるで失速現象をせき止める印象がありますが、あれの機能は、かき回しです。

翼上面の気流をかき回して、勢いが無くなった翼面付近の気流に、翼から離れた勢いのある気流を混ぜ込んで、剥離が起きないようにしているわけです。


ちょうど気流が翼面をスパン方向に流れ始めると渦を作るように機能します。

ランディング時のフレアの様に、対称に引起せば、失速開始点は翼端ではありませんが、非対称に一方の翼端を吹き上げられれば、”翼端から一気”に失速します。

おそらく事故の当時も、そうだったのだろうと思います。もしギリギリまで吊っていたとしたら、尚の事ですが、相沢さん自身が驚かれるほどクイックにロールしたのであれば、おそらく、そこまで吊ってはいなかったのでしょう。

となると、それほど、エッジのはっきりしたコアの強いマイクロサーマルがあったんだと思います。

リッジの吹き上げなら、地形から予測できますし、ボーっと尾根越えするような初心者ではないわけですから。

フェンスは、有効だとは思います。

ただ、今回のように、急激な片翼の吹き上げが原因と思われるスピンには、どうやっても対処は難しいと思います。こんな時の為、スピンシュートは必携ではないでしょうか。

文字通りスパイラルなら、失速はしていませんが、スピンならほぼ全体に失速して います。

旋回内側は、ずっと完全失速です。


> > スピンを止めないと、まず回復しません。
>
> そうすると、フラットスピンや翼端失速からのダイブがしている間は、基本的にスピン状態が継続しているって理解していて良いでしょうか?
> 概ね、今までの経験からスパイラルダイブの旋回が止まってからバープレッシャーが回復して普通のダイブに移行して、其処から回復しているので、バープレッシャーが 回復する段階まではスピン状態なのでしょうか?

回転が収まれば、スピンと呼ぶかは?ですが、スピンした事により陥った状態です。


機体姿勢角より降下角が常に深いため、継続的に深い失速状態(ディープストール)です。

バープレッシャーが無いのもその証拠です。ものすごい降下角なのに、失速している、という嫌な状態ですね。

ともかく、できるだけ早く降下角に機体を合わさねばなりませんが、時間との勝負で、勇気が要ります。

やはり、スピンシュートをキール後端に仕込んでおくのが有効と思います。

ところで、厄介なことに、重心移動式のピッチ操縦は、ダイブ角が深くなると、体重が利用できず、うまく操縦できなくなってきます。

では、舵なら効くか?といえば、やはり失速中は効きませんが、水平尾翼があれば、明らかに回復は早くなります。

> 質問続きで申し訳ありません。


> それから、メールで教えて頂いた、スピンや翼端失速についての事を、アクシデントリポートに引用してよろしいでしょうか?


> とりあえず、書きあがったらチェックお願いして良いですか?


> では、色々ありがとうございます。

了解しました。


また、レポート拝見させてください。では、


今晩は、相沢です。


色々とありがとうございます。


とりあえずレポート添付ファイルですけど、見て頂けますか?


あと、このメールのやりとりも全文UPしたいんですが、よろしいでしょうか?


それともう一つスピンシュートなんですけど、以前米軍の新型戦闘機のラプターのスピンテストの写真だったかが雑誌に載ってて、それに機体の後部にフレームがついてて、その後端に小型のパラシュートがついていましたが、あれですよね?


それで思ったのですが、以前一時期流行ったハンググライダー用のドローグシュート、あれのキールに取り付けるタイプはそのままスピンシュートにならないでしょうか?


僕の機体だと、キールを延長してV尾翼の後に取り付ける事にして、ダイブに入ったりした時に使用する?使い方はそういう時で良いのでしょうか?

ではよろしくです。


>今晩は、相沢です。
>色々とありがとうございます。
>とりあえずレポート添付ファイルですけど、見て頂けますか?

***拝見しました。何はともあれ、助かってよかったなぁ、と言う感想が先立ちます。

あと、このメールのやりとりも全文UPしたいんですが、よろしいでしょうか?

***OKです。専門家扱いは、正直少々抵抗ありますが、HP上でうまく紹介して下さい。

それともう一つスピンシュートなんですけど、以前米軍の新型戦闘機のラプターのスピンテストの写真だったかが雑誌に載ってて、それに機体の後部にフレームがついてて、その後端に小型のパラシュートがついていましたが、あれですよね?

***その通りです。

それで思ったのですが、以前一時期流行ったハンググライダー用のドローグシュート、あれのキールに取り付けるタイプはそのままスピンシュートにならないでしょうか?
僕の機体だと、キールを延長してV尾翼の後に取り付ける事にして、ダイブに入ったりした時に使用する?使い方はそういう時で良いのでしょうか?

***そうなりますね。常に滑空比を犠牲にするジェネレーター等を使うより、いざって時に、効果絶大なスピンシュートの方が現実的な気がします。

その時まで絶対に開かない機構と、回復後に切り離せる機構は大切だと思います。

開いたままでも死ぬよりはマシですが、みすみす望まない所に落とすのも勿体無いですし。

ところで、垂直安定板の無いリジッドハングのフラットスピンは、特殊ですね。

普通、重い実機では、一度入ったら抜け出せない状況ですが、入っても回復するわけですから。フ

ラットスピンに入るプロセスをもう少し詳しく教えてください。

それから、相沢さんの意味する、スパイラルダイブに対して、私の理解が今ひとつな気がしています。

これも、教えてください。


おはようございます。

> ***OKです。専門家扱いは、正直少々抵抗ありますが、HP上でうまく紹介して下さい。

ありがとうございます。

> ***そうなりますね。
>常に滑空比を犠牲にするジェネレーター等を使うより、いざって時に、効果絶大なスピンシュートの方が現実的な気がします。
>その時まで絶対に開かない機構と、回復後に切り離せる機構は大切だと思います。
>開いたままでも死ぬよりはマシですが、みすみす望まない所に落とすのも勿体無いですし。


はい、一応以前僕が使ってた物で、開いた後もう一度窄める事が出来る物があるので、これをもう一度手に入れようかと思っています。
切り離して投棄出来た方がより良いんですが、まぁこう言うことがあった後、いくら僕でも其処からクロカンに行ったりはしないだろうですし 、ランディング出来る場所まで持って行ければOKって事で考えています。

> ところで、垂直安定板の無いリジッドハングのフラットスピンは、特殊ですね。
>普通、重い実機では、一度入ったら抜け出せない状況ですが、入っても回復するわけですから。
>フラットスピンに入るプロセスをもう少し詳しく教えてください。

はい、所で固定翼ハングのフラットスピンと非常によく似た振る舞いをする物があります。


それは、パラグライダーで、パラグライダーにおけるフラットスピンと其処からの回復の動きは、固定翼ハングのそれと非常に似通っています。

概ねこうです。
浅いバンク角で旋回中に、スピードを落していくと翼の上面の気流が剥離し始め、機体が振動し始めます。
更にスピードを落していくと、突然って感じで外側の翼が走るって言うか急激に前進して、旋回内側に巻き込むような感じで機体がフラットスピンを開始します。
但し、この段階でスピードをニュートラル以上に持って行けば、パラグライダーのフラットスピンからの回復と同様に、機体が大気速度を回復しようとする感じで、ダイブに入ります。
実際には意図して入れたのではない限り、サーマルなどの突き上げなどから入る場合が殆どなので、もっと急激に事態が進行しますが、注意していれば十分に対処できるレベルです。

この時に真っ直ぐダイブに入るのではなく、内側の失速している側を斜め下に螺旋状にダイブに入って行きます。

多分パラグライダーに比べて、振り子安定が少ない為、フラットスピンの状態を維持しにくくその為フラットスピンからダイブに移行し易いのではないかと思っています。

> それから、相沢さんの意味する、スパイラルダイブに対して、私の理解が今ひとつな 気がしています。これも、教えてください。

これは、ダイブの状況を外から見ている人が今までいなかったので、乗っている側からの視点しかないので、多分に主観の入っている事を考慮に入れて欲しいのですが、今までの所、経験上回復の為のダイブに入ると殆ど地面に向かってダイブする訳ですが、その際ゆっくりとそれまでの旋回方向と同じ向きに回っている事が殆どです。
多分主翼の片方が完全に失速状態を続けている為、抵抗が左右均等でない事や、スピンのそれまでの慣性がついてる事などがあるのかな?って思っています。


今晩は、四戸さん。
相沢です。

> それから、相沢さんの意味する、スパイラルダイブに対して、私の理解が今ひとつな気がしています。これも、教えてください。

はい、昨日メールした後、スピンや翼端失速からの回復時のスパイラルダイブの事を思い出しながら、もう一度、翼端失速などの解説を読み直していたんですが、機体の動きとパイロットの位置から見える景色を考えて見ると、機体の姿勢とどう言う風にその時機体が動いていたかを考えて見ました。

で、スパイラルダイブに入っている時の機体の動きは、おそらくこうです。
姿勢は機首を斜め下に向けて下を向いたままフラットスピンをしている感じです。
因みに下を向く角度は、フラットスピンや翼端失速に入る深さによりケースバイケースです。
分かります?
この時、旋転外側と内側は螺旋階段の外側と内側で階段の傾斜が異なる様に、外側は気流に対して仰角が少なく、失速していない状態ですが内側の翼は外側と同じ下向きの角度であっても角速度との合成風速(ベクトルかな?)がより下向きに気流が流れる事になりその姿勢での翼の仰角が大きくなっている為失速を継続しているって考えられます。
って考えると分かり易いでしょうか?
但し、フラットスピンと異なり旋転の回転スピードかなり遅く、次第に機首が更に下を向き内側の翼が失速から回復すると同時に旋転が止まり、と同時にバープレッシャーが回復してダイブから回復します。

こう考えると、その時に見えた景色とかと整合性がとれるように思うのです。
ではよろしくです。


相沢 様

少し事態がわかってきました。
どうも、空力屋とハング屋との間で、用語の統一が成されていないため、話が見え辛
くなっているようです。

そこでとりあえず、空力屋の、いわゆる専門用語と現象の対応をざっと述べます。

まず、スピンとスパイラルの違いです。主な違いと、パイロットの体感的な印象は、

 ○スピン⇒失速によって引起される現象⇒発生時、外側翼が前へ走る感じ

 ○スパイラル⇒失速が関与しない現象⇒バンクがだんだん深まるのを止められない感じです。

次に、フラットスピンです。姿勢角が水平状態でスピンする状態です。

ほとんど鉛直に降下します。ヘリコプターのローターと同じで、翼は、重心周りに回転し、左翼が前から風を受けていれば、右翼は後ろから風を受けます。

完全にコマのように回転する現象です。

普通、フラットスピンに入ると、飛行機としての釣合は完全に失われ、抜け出すことはできません。

フラットスピンは、スピンの最終段階の”ひとつ”です。

スピンが、必ずフラットスピンに到るわけではありません。

むしろ大半のスピンは、1旋転以内に収まります。
垂直尾翼がある機体では、回転を強力に減衰させるからです。

垂直尾翼が不足気味の機体でも、大体は機首を徐々に落として、深いダイブに至ります。

急速にダイブしているにもかかわらず、なかなか失速から抜け出せないのが”スピンダイブ”の特徴です。

繰り返しになりますが、本当の”フラットスピン”に入れば、もう抜け出すことはできません。

”スパイラルダイブ”は、スパンが長く、その割に速度の遅い機体に特有の現象です。

グライダーが好例です。

特に人力飛行機は、常にスパイラルと隣り合わせで飛んでいす。

鳥人間コンテストでは、スパイラルで落ちるグライダーを多く見かけます。

現象は次の通りです。
旋回するためには、機体をバンクさせますが、バンクするだけでは、旋回には入りません。

バンクした側に機体は滑り、滑った事により、垂直尾翼に生じた揚力が、機首を旋回内側に振るわけです。

このバンクによる滑りと、機首の振りが適度なら良いのですが、旋回内側への滑りに対して、機首の振りが急激だと、旋回外側の翼の速度が大きく、内側の翼の速度が遅くなります。
機体の速度が大きければ、この内外翼の速度差は、問題ではありませんが、遅いとどんどん外側翼の揚力が勝って、更にバンクが深まり、更に滑りが大きくなり、また更に機首を内側に振り、またバンクが増す、という悪循環に入ります。

これがスパイラルダイブです。

ここで、大切なのは、”スピンダイブ”と違って、”スパイラルダイブ”は、”失速が関与しない”事です。バンクが戻せず、どんどん増速し、コントロール不能です。
左右翼の速度差が大きい大スパンで、かつ垂直尾翼が強力な、つまりグライダーが陥りやすい状況です。

後退角無尾翼機が”スパイラルダイブ”に入る可能性は大変に低く、螺旋階段の説明からも、”スピンダイブ”だと思います。

とりあえず、きょうはここまでに致します。


まだまだ続きます。