えっとですね。これは確か龍の巣の話があった次の年でした。

季節は秋、9月頃の話ですね。

本吉方向に言ったときの話です。

今では、パラグライダーの大会のゴールになったりしてる所ですが、昔は中々いけなくて、本吉町はうちのクラブでは、憧れの地だったんです。

その日は、中々の条件で、朝から、室根山から南の矢越山方向に、ストリートが出来ていました。

中々気象条件が良いんだけど、雲低は余り高く無かったですね。

確かランディングを0にして、1100mぐらい。

結構沢山飛びに来てました。

で、パラグライダーもストリート使って、矢越山に行った人も何人かいたようです。

ハングの方は、練習生の芦沢さん。

後、僕と何人か来てたはずです。

僕が準備してる間に、芦沢さんがテイクオフ。

僕の方は機体を、組み始めたばかり、組みながら様子を、見ていた。

直ぐにサーマルにヒットして、するするっと雲低へ。

その後、ストリートに乗って矢越山方面に飛んでいった。

僕も、早く準備していかなくちゃ。

それから、30分後、ようやく準備完了。

昔から、僕は機体の組み立て分解が、、遅いんですよね。

しかも、取り扱いが雑なもので、今でも、よくATOSのリブ壊したりするんですよね。

話は、戻ってもう芦沢さんは、とっくに空の彼方。

ストリートの雲は、かなり崩れてきたけど、なんとか渡りきれるかな?

早速テイクオフ。

直ぐに僕もサーマル拾って、ストリートに乗る。

もう、リフトは余り無くて、これで最終列車って感じ

↓大田山        大森山↓        徳仙丈山↓                  ↓本吉町

矢越山の上についた頃には、ずいぶん下がってしまった。

稜線の上で、此処で上げないと何処にもいけないから、頑張って粘る。

しばらくしてると、いい上がりのサーマルをヒット。

上を見ると、今まさに雲が出来る所。

雲低まで上げると1000mしかない。

何か、下がってきたな。

でも、せっかくのチャンス。いける所まで行ってみよう。

ストリートは此処で、南西方向と南方向に二股に分かれている。

南西方向は、次のストリートまで、少し雲の無い所を飛ばなくちゃならない。

僕は此処で手堅く、南方向にした。

こっちはずっと本吉町まで、山が連なっている。

で、矢越で雲低まで上げた後、南の大田山(確かこんな名前だったと?)に向かう。

目論見では、山頂の上に着く筈だったのに、思ったより見込みが甘くて、山を回りこむ羽目になった。

だいたい7合目ぐらいの所を、回り込んだ。

随分下がったなぁ。

こんなに下がると、下手すりゃこのまま降っちゃうかも。

そして尾根を越えて、見えてきた景色に僕は息を飲んだ。

自分が飛んでいるところは、矢越山から本吉町まで山並みが続いている所だけど、その西側にも低い山が延々と連なっている、南北に伸びる谷の地形になっている。

で、雲は反対側の山には、全然無い。

と言う事は、おそらくこの谷から、西に出る事は少なくとも、僕の腕では極めて困難。

なのに、この谷には山と川と民家と林と電線だらけの田圃しかない。

降りれないじゃないか。

こうなりゃ意地でも上げなくちゃ。

人間窮地に追い込まれると、普段からは信じられないほどの能力を発揮できるものらしい。

+0.1〜0.2ぐらいしかないリフトを、粘りまくりいつの間にか、それが+2.0になっていた。

こうして、雲低まで上げたが、また雲低が下がっている。

だいたい900m。

そして、次の大森山に向かった。

同じ様に山頂は越せずに、回り込んだ。

そして尾根を越えて、見えてきた景色にまた息を飲んだ。

おいおいまたかよ。

ええい、毒をくわらば皿までだ。

漢なら、やはり前のめりに倒れるべきだ。

またも、同じ様に上げきった。

そして、また同じ様に雲低が下がってた。

800m

そして、本吉町に向かう為の、最後の難関にたどり着いた。

その山の名前は、徳仙丈山。

この山は、それまで幾多の勇者を飲み込んできた。

本吉町に出る為には、この山をトップアウトしなければ、ならない。

しかし、次第に雲低が下がって、山頂と雲低の間って、余り無い。

結局山頂近くまでは、上がれたけどトップアウトは出来なかった。

ずっと降りられる場所が、無かったけれども、何と山頂に牧草地があった。

一辺が、50m程の正三角形。

でもねぇ、此処には降りたくないなぁ。道もなさそうだし。

此処に降りるくらいなら、麓の農道狙って降ろしたほうがましだよね。

一旦山を回りこんでみる。

何と、裏側の山裾に牧草地を発見!!。

本吉行きは、諦めて此処に降りることに決定した。

その晩。

家に帰ってから、スクールの校長に電話をかけた。

「おう何処まで行った。」

「ええ、徳仙丈の裏の牧草地に。」

「良く見つけたな。」

「そういえば、あの辺りは降りれる所って、全然無いけど徳仙丈のてっぺんに、牧草地あっただろ。」

「ええ、ありましたね」

「あそこ、使えるんじゃない?」

「ええー、幾らなんでも、あんな所に降りる奴なんて、いませんよ」

所でこんな所です。 

山頂に木の生えていない所があるのが分かりますか、此処が例の牧草地の跡です。

                               ↓此処

 

「そうだよなぁ」

「そうですよ」

「あははははははは」

「あははははははは」

が、しかし、いたのである。

次の週末。

また、前回と同じ様な天気。

ハングのメンバーは、お馴染みI氏と僕

またまた、同じ様にストリートを、I氏と渡って、矢越山に行った。

行って見ると、同じ様に今日も二股にストリートが、分かれている。

僕は、前回で懲りていたので、南西方向の藤沢町に向かうストリートに乗った。

I氏に、あっち行ってもろくな事ないから、「一緒にこっちに行こう」って、言ったけど無線が聞えなかったのか、そのまま前回の僕と同じコースを行ってしまった。

あ〜あ行っちゃった。

まぁ帰って来てから、感想聞くのが楽しみだな。

僕の方はストリートには、乗れたけどその後、何度か上げなおせたけど、藤沢町の中の牧草地に降りてしまった。

その後、パラのフライヤーに、回収に来て頂いた。

で、I氏の方は、同じ様に飛んで、同じ様に地獄を見て来たとの事。

ただ、雲低が、僕の時より大分高くてマシだったそうだ。ちょっと悔しい。

でも、何より違ったのは、徳仙丈山のてっぺんの牧草地に降りた事。

まさか、あそこに降りるとは。

降りてみたら、テイクオフした高さより、100m以上高かったとのこと。

運良く、キノコ採りに来てた人がいて、その人に麓まで、乗せて貰ったそうだ。

運がいい人って、いるんですね。

帰って来て「あんな所に降りなくても、回り込めば、麓に良い牧草地があったのに」

って言ったら「徳仙丈山に向かった時は、飛び越せる筈だったんだ。」

「でも、海風が入ってて、シンクがきつくてそのまま突き刺さってしまったんだよ。」

との事。

いやぁ僕の農家の庭先に降りたのも中々かもしれないけど、I氏の降りた所も中々ですなぁ

う〜ん。丙丁つけ難し。

戻る。