今日は、akichanです。

今これを書いてるのは、8月何ですが、やっぱり夏空と言えば、青い空と積乱雲ですよね。

で、これはあの巨大な積乱雲に果敢に挑んだ、大馬鹿者の話です。

因みにかなり長いです。

よろしく

それから

良い子のみんなは、命が惜しければこんなまねをしちゃ、いけないよ。

これは、6〜7年前の9月の平日のこと。

かなり、暑かった日ですね。

場所は室根で、その日は仕事が休みで、最高に天気が良さそうだったので、僕のほかにも何人か、飛びに来てました。

風は、テイクオフでは程よい南風。

テイクオフして、しばらくして室根山荘の上空で、サーマルにヒット。

+3以上で上がって、一気に雲低へ。

因みに確か雲低は、海抜で1400m程。

その後、雲の下を這って、南東に5km程の、室根ブロイラーに遊びに行った後、また室根山荘に戻って上げなおした。

また、同じ様に上げていると、上の雲を見ていると上空の高い所は、西風のようだ。

その為か、今上げている場所は、雲のど真ん中ではなくて、雲の西側の縁。

と、ここで先週、石川さんがパラグライダーで、積雲の側面に出来るリッジリフトで、400だか500上げて見せたっていう話を、思い出した。

上の雲を見ると、西風に逆らって動かないで、頑張っている状態。

いわゆる根っこが生えた雲。

これなら、僕も同じことが出来るな。

ちょうど、西側の縁で、上げてるから、そのまま上げていけば、殆ど雲に入ること無しに、側面に出られそうだ。

実際そのとおりに、するするって難なく、雲の西側に出られた。

雲の西側の側面のリッジは、非常に安定して+1〜2mぐらいの穏やかなリフトでした。

ただ、見える景色は、もう絶景としか言い様が無いです。

非常に残念だったのは、カメラを忘れて来た事。

リッジに使ってる雲は、どんどん発達して上は、7000mじゃきかない位まで高くなってる。

このまま、上げていけばハングの、獲得高度の日本記録だな。

まるで、真っ白に光り輝くグランドキャニオンの絶壁を飛んでるようだ。

しかし、あまりに安定して上がってるもので、最初はおっかなびっくりで飛んでたけど、次第にくもに近づいて、雲に片翼の翼端を、突っ込んでみたりしてました。

雲低から、もうすでに1000mぐらい上がった頃。

調子こいて、雲を掠めるように飛んでいたら、雲の形が変わった形になっている所を、発見した。

どんな形かと言うと、でこぼこした雲の側面が、そこだけ直径100mぐらいのちょうど、雨どいを立てかけた形に、切り欠かれてるんです。

今まで、寝てても飛べるぐらい安定してました。

で、軽い気持ちで「この中には一体何があるんだろう」って入っていきました。

答えは、地獄の入口がありました。

ちょうど、雲の外側にある強烈に強いリフトで、雲が半円柱形に押しのけられて、あの形になってたようだ。

不用意に入った為、また雲の外側の方がリフトが強い為に、雲の中に押し込まれる感じで、雲の中に突っ込んでしまった。

雲に入った後、体勢を立て直した後、コンパスを見ながらひたすら西に進んだ。

自分では、直ぐ西に出られると思っていた。

しかし、そんなに自然は甘くなかったです。

 

中の様子は、荒れていることは荒れていたが、サーマルの超激しいぐらいで、コントロールが効かないって言うのとは、程遠かったですね。

それに結構明るかったし。

それでも、+3〜7mのリフトに次々ぶち当たっては、突っ切って行くのは、結構しんどいです。

それに、方位を失わないようにする為には、絶対に旋回できない。

あっちこっちにとられるのを、真っ直ぐ飛ばし続けるのは、中々大変です。

そのうち、雲に入って五分ぐらいたって、かなり不安になってきた頃、今まで一番強くて7mぐらいだったリフトが、どんどん強くなり始めた。

所で、その時使ってたバリオは、フライテックの3005だったんだけど、あれって実は、+10m以上も表示するんですよ。

あのシリーズ、使ってる人も多いと思うけど、知ってました?

まず、0〜5mは、グラフが棒グラフみたいに黒くなりますよね。

で、5〜10mは、アナログの針みたいに表示されますよね。

それで、10m以上は、シンクの表示の一番下の−5mの表示の所から、棒グラフみたいに黒く表示されるんです。

次第にリフトが強くなるにつれて、機体のノーズが上を向いて、ぐんぐん上がり始めた。

さらにリフトが強くなって、10m近くなると殆ど真上を向いて、飛んでる感じだ。

このままでは、タッキングに入るかも知れない。

仕方が無い。

ここは回して普通にセンタリングしないと、機体がもたない。

思いっきり体重を右に乗せて、回した。

風の音が、物凄くてそれよりも、Gで自分の骨がきしむ音が、妙に大きく聞こえた。

バリオを見てると、表示が三回切り替わって、最後に−5の所からバーが出てきて、+1の所で動きを止めた。

と言うことは、+16m!!

高度計の表示が、ストップウォッチみたいに動いている。

多分二周ぐらい回った所で、上昇する加速度がかからなくなって来た。

多分これが、この雲のコアなんだろうか?

だとすれば、西風が強いから、もう少し西に進めば出られるかも。

高度計は確か五千で、止まってた気がする。(随分前の事なので、そこまでは覚えてないんです。)

そこから、旋回を止め、直線飛行に移る。

それから、西に向かった。

所が数分後、またこのコアに入ってしまった。

蒼くなりながら、また同じことを繰り返す。

また、コアから出て、直線飛行に移る。

この頃から、かなり精神的に参ってきてた。

所で、コンパスは、車用に売られているプラスチックの球形のケースに、入っている奴を使っていた。

あの、カーショップとかで300円ぐらいで、売ってるあれです。

直線飛行に移っても、中々コンパスがぐるぐる回ってて、止まらない。

訳がわからなくなって来てた僕は、「止まれー」などと言いながら、ケースを指で押さえてた。

指で押さえたってねぇ、中にあるんだから止まるわけが無い。

今思い出すと、あまりに間の抜けた行為に、呆れてしまいます。

はっと気づいた僕は、気を取り直して、そのまま真っ直ぐ西に向かえば、またコアに入るから一分ぐらい北に向かって飛んだ後、西に向かおう。

北に向かって、一分たった。

西に向かおう。

それから、5分たった。

それまで、ずっと上がりっぱなしだったのが、凄いシンクになり始めた。

ずっと−3〜4m、でも、時々+5ぐらいのが来る。

でも、まだでないよ。

だんだん、「やっぱり二度とここから、出られないのかなぁ?」

「風船おじさん見たくはなりたくないなぁ。」

次第に前途に悲観的になってきた。

だんだん訳がわからなくなって、ドラッグシュートを開いてみた。

でも、雲低は遥か下、多分ここから3000m以上は下である。

もう、自分で何をしているのか、訳がわかりません。

しかし、ドラッグシュートを、開いたとたん。

突然、視界が開けた。

眩しーい。

やった、助かったんだ。

と、慌ててドラッグシュートを畳む。

 

周りを見渡すと、これまた絶景である。

後ろを振り向くと、巨大な雲の壁が、目に入ってきた。

まるで、天空の城ラピュタに出てきた「龍の巣」である。

出てきた高さは、山で言うと五合目かな。

前方を見ると、積雲と言うより、積乱雲?に囲まれた、直径2km程の竪穴の様になっている。

僕はちょうどその中に、飛び出したような感じになった。

場所はちょうどメインランディングの真上。

上空から地上を眺めると、小説の「蜘蛛の糸」に出て来るお釈迦様になった気分。

周りをみて見ると、ひたすら絶景に囲まれていた。

雲から出てきた時の高さが、たしか5000m近くあったと思う。

しかし、これだけの高度があって、ただそのまま真下のランディングに降りるのは、あまりに勿体無い。

周りを見ると、真南方向に雲の切れ間があったので、南に行って見る事にした。

ずっと−4〜5mぐらいのシンクだったけど、自分の高さが、いきなり高かったので、気にせず進んだ。

幅は500mほどの積雲に挟まれた谷のようになった空域を進む。

右を見ても、左を見てもどっちも、高さで2000m以上はある雲の断崖絶壁。

日差しは当たってないんだけど、白く輝く雲の照り返しで、とても明るい。

そのうち、一発もリフトに当たらず、シンクを食らい続けながら、12kmぐらい進んだ。

この辺まで来ると、大して立派な雲は無くて、この辺からは海風のシアーラインになっていた。

それで、ここからは波乗りするように、海風前線に乗って飛んだ。

そのうち、本吉町小泉に着いた。

ここから先は、地形的にもう進めない。

ので、ここで降りることにした。

とまぁ、一大スペクタクルを命がけで、見物してきました。

でも、この次は安全に、見に行きたいな。

教訓ですか、言い古されてますが、ここはやっぱり「自然を甘く見てはいけない」

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